矯正用スクリューアンカー
この病院について
矯正用スクリューアンカーとは?
1)歯科矯正用アンカースクリュー(略名TAD=Temporary Anchorage Device)
歯科矯正用アンカースクリューとは、名称のごとく矯正治療の際に補助的に使われる装置です。歯茎に装着する装置で、アンカーとは、錨(いかり)のことです。舟を水上の一定範囲に止めておくために鎖やロープを付けて船底に沈め使う道具という意味ですが、
矯正では、麻酔注射により歯茎と顎に装着して使う道具です。歯の動きを調節するために使用します。大きさは5~8mm程度の長さの物を治療効率に最も適した場所に装着します。
なぜ使用するのか?
矯正治療は過去遡ること、100年以上前から歯科医師の経験と勘を頼りに取り組む治療でありました。大変高度の治療なため、一定の技術を習得するのに少なくとも10年近くの年月を必要としました。(歯科医師になるための期間7年間、矯正専門医の資格試験を受けるにはその後最低でも5年以上の期間を経て初めて受験資格(日本矯正歯科学会における基準になります。)が得られます。
そして認定試験に合格すれば晴れて専門医になります。
2)TADについて
不正咬合を治すには数年間の治療期間を必要とします。
良く目にする歯に着いている矯正装置は、組み立て工場のベルトコンベアーのように、
お任せしておけば美しい歯並びとなる装置であれば、私達矯正医も助かる次第ですが、現実はそう簡単ではありません。
見渡すかぎり水平線上に浮かぶ1艘の船を思い浮かべて下さい。船を安心安全に走らせ、
目的地に無事に到着させるには船の進路を決める羅針盤や海図がなければいくら船長がベテランでも不可能です。
矯正の歴史をたどって見ますと、昔(200年以上) から、歯を動かす時に羅針盤、海図のようなものは存在せず、匠の世界ではありませんが、治療が終わるまでの数年間、経験と、感を頼りに治療をしてきました。マイクロスクリュー(TAD)はそこまで頼れる装置とは言い過ぎかもしれませんが、将来必ずや安心安全に歯を動かす時の羅針盤になってくれるのではないか期待されている装置です。
この装置の信頼性が向上してきている証拠に、日本国内はもちろんのこと、世界中の矯正歯科医師が利用するようになってきました。
3)この装置による効果
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難しい治療が治療の難易度を下げるのに有効なことが報告されています。
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患者さんの協力を少なくさせる効果があります
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治療期間を減らす効果が報告されています